立体化
・・・主題が単なる独白的な構造のものでは文章の内容が薄くなる、文章の中身は対話的なものであることが望ましい、といふことである。つまり文章には弁証法的な性格が必要といふわけだが、このことは日本人にはどうも不得手なやうな気がする。われわれの文章はとかく単一の軸で話が進みがち、視野が狭くなりがち、論旨が一面的になりがちなのである。螺旋階段のやうに曲りくねりながら上方へ昇ってゆくといふ立体的な仕掛けではなく、平板に、横へ横へと伸びてゆく、そんな調子なのだ。・・・<<引用「文章読本 」P19>>
日本語は古典的なものから学ぶことにしようと思っている。
理由はどこかでまとめるとして、とにかくもとても刺激を受ける文章が多いと感じているから。
そんな中、「文章読本」という類の本があって、平たくいえば文章指南の本なのだけどもちょくちょく手にとっている。
まぁこの手のものを読んだからといって自分ごときが文章が上手くなるとはあまり思えないのだけど、自分では間違いなく選択しないであろう名文が数多く引用されているので、それらとの出会いがとても面白いと感じている。
今は丸谷才一さんのを再読している。(再読は気づきが多い!いや二度目でも気づきが多いのが名著だ!)
というわけで、今回の最大の気づきが冒頭の引用文。
立体的な文章!
こんなこと今まで考えたことなかった。再読なのに。付箋貼ってあったのに。
そしてその要素として「対話的であること」だとおっしゃっている。
読んでいてイメージが立ち上ってくるようなそんな文章書いてみたい。
そしてこれはストックイメージのクリエイティブにも当てはまる考え方。
2次元なのに3次元的な、見るものとの対話が成立するイメージ。
探求に値するテーマと出会うことが出来た。
もうなんだかこの一文だけでもこの本を読んでよかったなと思えている。